私たちは普段、健康というと食事や運動、薬などを思い浮かべることが多いかもしれません。
しかし世界には、森林・海・温泉・気候・太陽・洞窟など、その土地の自然環境そのものを健康づくりに活かしてきた文化が数多く存在します。
こうした自然環境を利用した健康法は、近年では環境療法(Environmental Therapy)や自然環境療法と呼ばれ、世界各地で研究や実践が続けられています。
日本の森林浴、ドイツの気候療法、北欧のサウナ文化、地中海の海洋療法なども、この環境療法の一つです。
このページでは、世界各地で受け継がれてきた環境療法を、歴史や文化とともにご紹介します。
環境療法とは?
環境療法とは、自然環境が持つ特徴を利用して、心身の健康維持や養生を目指す考え方です。
薬や手技による治療とは異なり、
- 森林の空気
- 海風や海水
- 太陽の光
- 温泉
- 気候
- 洞窟の空気
- 泥や砂
など、自然そのものを健康資源として活用します。
近年はストレス軽減やリラクゼーションだけでなく、運動療法やリハビリテーション、予防医学の一環としても注目されています。
世界に受け継がれる環境療法
森林療法(森林浴)
森林の中でゆっくり過ごし、樹木の香りや静かな環境を楽しむ健康法です。
日本では「森林浴」として知られていますが、現在ではドイツや韓国、中国などでも森林を活用した健康プログラムが行われています。
海洋療法(タラソテラピー)
海水や海風、海藻、海泥などを利用する療法です。
古代ギリシャ時代から海の恵みは健康維持に利用され、現在でもフランスやスペインなどではタラソテラピー施設が数多く存在します。
気候療法(クリマセラピー)
高原や海辺、森林など、その土地特有の気候を利用した療法です。
ドイツやオーストリア、スイスでは、医師の指導のもとで気候療法が行われることもあり、自然の中での運動や滞在を組み合わせたプログラムが発展しています。
温泉療法(バルネオセラピー)
天然温泉の温熱や含有成分を活用する療法です。
日本をはじめ、ドイツ、チェコ、ハンガリー、アイスランドなど、多くの国で古くから利用されてきました。
ヨーロッパでは温泉保養地(スパ)が医療や保養の拠点として発展した地域もあります。
洞窟療法(スペレオセラピー)
天然の洞窟や岩塩坑の安定した温度・湿度・空気環境を利用する療法です。
ポーランドやルーマニア、ウクライナなどでは、岩塩坑を利用した保養施設が知られています。
日光療法(ヘリオセラピー)
太陽光を健康維持に活用する考え方です。
古代エジプトやギリシャでも日光は重視され、近代ヨーロッパでは結核患者の療養施設などでも利用されてきました。
現在でも適度な日光浴は、生活習慣の一つとして取り入れられています。
泥療法(ペロイド療法)
鉱物を豊富に含む泥を身体に塗布する療法です。
死海周辺やイタリア、ハンガリーなどで伝統的に行われており、温泉療法と組み合わせて利用されることもあります。
砂浴療法
温められた砂の中に身体を埋めて温熱作用を利用する方法です。
日本の指宿温泉をはじめ、中東や北アフリカなどでも古くから行われてきました。