【種から育ててハーブを活用!植物療法 】#7 ローズマリー
香り高きハーブ、ローズマリー。その歴史と効能を知れば、もっと好きになる!
ローズマリーは、料理やアロマ、薬用として幅広く活用されるハーブです。古代ギリシャ・ローマ時代から愛され、記憶力向上や健康維持に役立つとされてきました。本記事では、ローズマリーの歴史、効能、育て方、そして料理や生活での活用法を詳しく紹介します。
📝目次
【1】ローズマリーってどんな植物?
ローズマリー(Rosmarinus officinalis)は、シソ科の常緑性低木で、地中海沿岸地域が原産です。その名はラテン語の「ros marinus」(海の露)に由来し、海のそばで育つ姿が印象的だったことから名付けられました。細長い針葉と強い芳香を持ち、古代より薬用・香料・料理用に利用されてきました。
ローズマリーの花は 青紫色 が一般的ですが、品種によって 白・ピンク・淡い紫 などのバリエーションがあります。花も葉と同様に 爽やかでスパイシーな香り を持ち、リラックス効果や集中力向上に役立ちます。ローズマリーの花から採れる蜂蜜は、香りが良く人気がある。

ローズマリーには多くの品種があり、代表的なものは以下の通り
- トスカナブルー(濃い青紫の花、料理向き)
- マジョルカピンク(ピンクの花、観賞用)
- プロストラータス(匍匐性で小さな青紫の花)
- ミスジェサップ(白に近い淡いブルーの花)

【2】各地で愛用されるローズマリー
≪2-1≫ 使用が盛んな国ベスト5
1.フランス – 香水や薬用ハーブとしての利用が多い。
2.イタリア – 地中海料理に欠かせないハーブ。
3.スペイン – 料理だけでなく魔除けの用途も。
4.モロッコ – 伝統料理や薬用として活用。
5.イギリス – 歴史的に記憶や忠誠心の象徴として使用。

≪2-2≫ 世界文化とラベンダー
ローズマリーは特にヨーロッパ文化に深く根付いており、以下の国々との歴史的な関わりがあります。
- ギリシャ・ローマ: 古代ギリシャ人やローマ人は、記憶力を高めると信じて学者や学生がローズマリーの冠をかぶったとされています。
- イギリス: 中世ヨーロッパでは、ローズマリーは結婚式や葬儀に使われ、「記憶」と「忠誠心」の象徴とされました。
- フランス・ハンガリー: 14世紀の「ハンガリーウォーター」と呼ばれる香水(薬用酒)の主要成分として活用され、当時のハンガリー王妃が使用したことで有名になりました。
- スペイン・イタリア: 地中海料理には欠かせないハーブで、肉料理やオリーブオイルとよく組み合わされます。
📌イギリスとローズマリーの歴史
イギリスでは、中世からローズマリーが「記憶」と「忠誠心」の象徴とされ、結婚式や葬儀で使われました。シェイクスピアの『ハムレット』では、オフィーリアが「忘れないでね」と言いながらローズマリーを手渡す場面があり、これはローズマリーが記憶を象徴する植物として認識されていたことを示しています。また、疫病が流行した際には、病院でローズマリーを焚いて空気を浄化する習慣もありました。
📌フランスとローズマリーの歴史
フランスでは、ローズマリーは「ハンガリーウォーター」の主要成分として知られています。これは14世紀にハンガリー王妃エリザベートが使用したとされる香水で、若返りの効果があると信じられていました。また、フランスの修道院では薬用ハーブとして栽培され、リウマチや神経痛の治療に使われていました。
📌モロッコやその他の地域との関わり
モロッコでは、ローズマリーは伝統的な料理や薬用として広く利用されています。特にモロッコのスパイスミックス「ラズ・エル・ハヌート」に含まれることがあり、肉料理の風味付けに使われます。また、モロッコの伝統医学では、ローズマリーの精油が消化促進や抗炎症作用を持つとされ、ハーブティーとしても飲まれています。
その他の地域では、スペインやイタリアでもローズマリーが広く使われています。スペインでは魔除けのハーブとして帽子にローズマリーの小枝をつける習慣がありました。イタリアでは、ローズマリーは地中海料理に欠かせないハーブで、特に肉料理やオリーブオイルと組み合わせて使われます。
【3】 ローズマリーの効能
- 記憶力・集中力の向上(脳の血流促進)
- 抗酸化作用(老化防止)
- 抗炎症・抗菌作用(皮膚や体内の炎症予防)
- 消化促進(胃腸の働きを助ける)
≪3-1≫ 有効成分
- ロスマリン酸: 抗酸化・抗炎症作用があり、アレルギーや炎症の予防に役立つ。
- カンファー: 血流を促し、リフレッシュ効果をもたらす。
- ピネン: 気分を高める香り成分で、神経を落ち着かせる働きがある。
- シネオール: 抗菌作用を持ち、風邪予防や呼吸器系の健康維持に有効。
【4】 ローズマリーの育て方
ローズマリーは種から育てることもできますが、発芽率が低いため、挿し木で増やす方が一般的です。種から育てる場合のポイントは以下の通りです:
- 種まきの時期: 春(4~5月)または秋(9~10月)が適期。
- 発芽のコツ: 低温湿潤処理(冷蔵庫で1~2週間保管)をすると発芽率が上がる。
- 育苗: 発芽には20~25℃の温度が必要。発芽まで2~4週間かかる。
- 定植: 本葉が3~4枚になったら鉢や庭に植え替える。
- 収穫時期: 2年目から収穫可能で、枝先を10~15cm切り取る。
ローズマリーは乾燥を好むため、水やりは控えめにし、日当たりの良い場所で育てるのがポイントです。剪定を適切に行うことで、より多くの枝を収穫できます。
【5】収穫・乾燥・保存
収穫のタイミング
- 最適な収穫時期: ローズマリーは 開花前 が最も香り高く、成分が豊富なため、春~夏が適しています。
- 収穫方法: 健康な枝を10~15cmほど切り取り、過度に根元を切らずに適度に残すことで新しい成長を促します。
洗い方
- 収穫後、軽く水ですすぐ ことで汚れやホコリを落とします。
- 強くこすると葉が傷むため、優しく洗い、しっかりと水気を切ります。
≪5-1≫自然乾燥の方法
- 束ねる: 収穫したローズマリーを数本まとめて束ね、輪ゴムや紐で軽く結びます。
- 吊るす: 風通しの良い日陰に吊るし、湿気の少ない場所で乾燥させます。
- 乾燥期間: 約 1~2週間 で完全に乾燥。触ってパキッと折れるくらいになれば完了。
- 保存: 完全に乾燥したら密閉容器に入れ、直射日光を避ける 場所に保管。
≪5-2≫食品乾燥機の使用
- 準備:ローズマリーの枝を 適度な長さ に切りそろえ、洗って水気をしっかり拭き取る。
- 温度設定:40~50℃ が適温(低温でじっくり乾燥させる)。
- 時間:4~8時間 ほど乾燥させ、パリッと折れる状態になれば完了。
- 保存方法:密閉容器 や ガラス瓶 に入れ、湿気や光を避ける。
- 長期保存の場合は 乾燥剤 を入れておくとより鮮度が保てる。
【6】活用法と注意点
1️⃣ローズマリーハーブティー
ローズマリーはスッキリとした香りで、集中力を高めたりリラックスしたりする効果が期待できます。
◎材料:
- 乾燥ローズマリー(または生のローズマリー)… 小さじ1
- 熱湯 … 200ml
- はちみつやレモン(お好みで)
◎作り方:
- カップにローズマリーを入れる。
- 熱湯を注ぎ、5~10分ほど蒸らす。
- 茶こしで葉を取り除き、お好みではちみつやレモンを加えて完成!
2️⃣ローズマリーソルト
料理の下味や仕上げに使える、香り豊かなハーブソルト。

◎材料:
- 粗塩 … 100g
- 乾燥ローズマリー … 小さじ2
- (お好みで)にんにくパウダーやブラックペッパー
◎作り方:
- 乾燥ローズマリーを細かく砕く(ミルやすり鉢を使うと◎)。
- 塩と混ぜ、密閉容器に入れる。
- 一晩ほどなじませると、より香りが広がって完成!
3️⃣ ローズマリーオイル
ローズマリーの香りが移ったオイルは、パスタやグリル料理にぴったり。

◎材料:
- オリーブオイル … 200ml
- 生ローズマリーの枝 … 2~3本
- (お好みで)にんにく1片
◎作り方:
- ローズマリーは軽く洗い、水気をしっかり拭き取る。
- 清潔な瓶にローズマリーを入れ、オリーブオイルを注ぐ。
- 2週間ほど漬け込むと香りがしっかり移る。
※ 冷暗所で保存し、1か月以内に使い切るのがおすすめ!
4️⃣ ローズマリーの香り袋(リラックス用)
◎材料:
- 乾燥ローズマリー … 小さじ3
- コットンの袋やガーゼ
- (お好みで)ラベンダーやカモミールをミックス
◎作り方:
- 乾燥ローズマリーを袋に詰める。
- 枕元やクローゼットに置くと 安眠効果&防虫効果 が期待できる。
5️⃣ローズマリーのフットバス(リフレッシュ用)
◎材料:
- ローズマリーの枝 … 3本
- 熱湯 … 2リットル
◎作り方:
- 熱湯にローズマリーを入れ、10分ほど抽出する。
- 洗面器などに移し、足を15~20分浸すとスッキリ!
■種から育てて薬草・ハーブを活用!
※参考1:薬草療法・ハーブ療法について
※参考2:民間療法とは?