鍼治療は「刺激が強すぎても、弱すぎても」効果が得られにくくなります。刺激量は「鍼の太さ・刺す本数・放置時間」など、様々な要素が絡んできます。
鍼治療について
過不足ない適切な「鍼刺激量」
該当する場合は【鍼治療】がお薦め♪
- 医師に相談しても効果がない!
- 病院の検査で「異常がない」と言われた
- 「薬の服用」を止めると発症する
- 薬はできるだけ服用したくない!
- 同じ症状を繰り返している(慢性症状)
- 様々な症状があり「受診先を分けて通院」
「異常なし・原因不明」に鍼灸治療
「病院の検査で異常がないと言われた。」「原因不明と言われ、取り敢えず処方された薬では、効果がなかった。」「『暫く様子をみましょう』と言われ、自然治癒を期待されたが、状況が改善されていない」など・・・の場合、「鍼灸治療」をお薦めします。「東洋医学」では、不調の原因を探るのに、元々「機器」を使用しません。「四診:望診・聞診・問診・切診」という「4つの診察法」と「東洋医学の定義」を照らし合わせて判断するからです。つまり、症状に対する「捉え方・治療法」が異なるので、「違う観点からのアプローチ」ができるのです。勿論「全ての症状に対して、対応できる」わけではありませんが、「選択肢の1つとして、有望」です。
望診:視覚で診察 |
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聞診:聴覚/嗅覚で診察 |
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問診 |
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切診:体に触れて診察 |
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鍼刺激の効果
「鍼灸治療」は、「ココに鍼したら、腰が楽になった!」「お腹を温めたら、症状が消えた!」など・・・「体験談を総括して活用されてきた」ものです。「何故、効果が得られるのか?」詳細なメカニズムは、明らかになっていません。
後に「その部分を解明しよう!」という研究が始まり、判明した部分を「大まかなに説明」すると・・・
「鍼を刺す」ことで、筋肉に「小さな傷」ができます。「あっ!負傷した!」と認識され、色々な物質が誘導され、修復(自然治癒)がはじまります。この機序を「身体に深刻なダメージを与えず誘発する」手段に、「鍼」や「お灸」があるのです。ですから「マッサージでの自然治癒」と「鍼灸での自然治癒」には、大きな違いがあります。「マッサージ」では、「筋肉に傷はつかない」し「お灸で火傷させる」事はできないからです。
鍼治療について
「鍼の痛み」
使用する鍼は「液体を通す注射針」と違い、「髪の毛の細さ」に近いので「刺した時」に痛みは殆ど感じません。但し「皮膚」には「痛みを感じる痛覚」があるので、「痛覚点に刺してしまう」と、痛みを感じます。また「鍼治療に緊張して、体にギュッ!と力を入れてしまう」と「痛みを感じやすく」なります。その場合でも、非常に細い鍼なので、注射針とは「痛み具合」が異なります。
「鍼の放置時間」
「鍼治療では、適切な刺激量」が必要です。「刺激が強すぎても、弱すぎても」効果が得られにくくなるからです。刺激量は「鍼の太さ・刺す本数・放置時間」など、様々な要素が絡んできます。「体形・性別・年齢・体力・体質・症状」などを考慮して調整しますが、多くの場合「鍼を刺したまま、暫く放置する」(置鍼と言います)必要があります。
鍼の手法
「鍼の手技 1:火鍼療法」(燔鍼)
「火鍼療法」とは、中国の伝統的な治療法です。「火で熱した鍼」を体に刺し「意図的に火傷を作り、火傷を修復させる」事で「自然治癒力」を高めます。
【火鍼】主な適応疾患
- 「皮膚病全般:吹き出物|魚の目|潰瘍」
- 「腰痛」
- 「痛風」
- 「肩関節周囲炎:五十肩」
「鍼の手技 2:透鍼療法」(透刺)
「あるツボ」から「別のツボ」に向かって、2箇所を繋ぐように鍼を刺す治療法です。
- 「1本の鍼で、2つのツボを繋ぐように、貫通させる」
- 「1本の鍼で、2つのツボを繋ぐが、貫通させない」
- 「2本の鍼で、それぞれのツボに向かって刺す」
など・・・様々な方法があります。
鍼の材質
「金鍼:金を含んだ鍼」
長所 |
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短所 |
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「銀鍼:銀を含んだ鍼」
長所 |
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短所 |
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「ステンレス鍼」
「鉄」に「クロムやニッケル」を混ぜて「錆びにくく」した鍼。一般的に広く使用されている「鍼の材質」です。
※当店では「ステンレス製」の「ディスポーザブル鍼:使い捨て」を使っています。
長所 |
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短所 |
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鍼の種類について
刺す鍼 |
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貼る鍼 |
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刺さない鍼 |
※「小児鍼」として有名ですが、「大人」にも使用されます。 |
※「片側:てい鍼」で「反対側:員利鍼」になっています。(1本2役)
「刺す鍼」
毫鍼
「毫の意味:きわめて細い毛」という漢字が用いられている通り「髪の毛くらいの細さ」の鍼です。現在、鍼治療で最も一般的に使用されています。「材質」や「鍼先の形状」には、様々な種類があります。
灸頭鍼
「お灸と鍼」両方使った治療法です。具体的には、身体に刺した鍼の頭部分に「丸めた艾」をつけて、燃焼させます。鍼の柄の部分に丸めたもぐさをつけて燃焼させる方法です。「輻射熱」を利用しているので、「鍼は熱くならずに、体を芯から温めて」くれます。
✅「熱の伝わり方:3種類」
1.【熱伝導】「物体」と「他の物体」が接触している時などに、熱が「高温部分」から「低温部分」へ移動すること
2.【対流】エアコンで部屋が温まるように、「気体」や「液体」などの流れに乗って、熱が運ばれること。
3.【輻射熱】日差しで暖かくなるように、電磁波を介して熱が移動すること。
三稜鍼
「瘀血:滞ったドロドロの血液」を除去して、血流を促す「瀉血:しゃけつ」(刺絡療法)など・・・「皮膚の表面を薄く切る」ために用いられる「稜:かど」 が三つある鍼です。
電気鍼:パルス
少し深めに刺した鍼に、コードで「低周波治療器」を繋ぎ、微弱な電気を流す治療法です。身体には、もともと「微量の電気」が流れていますが、その「流れを刺激する」のです。「凝り・痛み・痺れ・麻痺」など・・・様々な症状に効果があります。
「貼る鍼:置き鍼」
皮下に留め置いたままにするタイプ。「1週間程度、貼ったまま放置できる」ので、「ツボを持続的に刺激してくれる」「治療効果を保つ」などの役割があります。「痛みが少なく」「目立ちにくい」のが特徴です。
円皮鍼
「鍼とテープが一体になっている」シールを「ツボや患部」に張り付けるタイプです。真ん中に「0.9mmから2.2mm程度の短い鍼」が付いているので、皮膚に対して垂直に刺入されます。「簡単に利用できる」ので、人気があります。
皮内鍼
皮内鍼は、「5mm程度の短い鍼」と「円形の竜頭」から出来ています。「竜頭:りゅうず」は、鍼が皮下に「完全に入り込んでしまう」のを防いでくれます。「円皮鍼」が皮膚に対して「垂直に刺入する」のに対して、「皮内鍼」は皮膚に対して「横向きに寝かせて刺入」します。また、別途「シールを2枚」用意する必要があるので、手間がかかります。
1枚目 | 皮膚を保護するために「竜頭の真下」に貼る |
2枚目 | 固定するために「鍼全体を覆う」ように貼る |
「刺さない鍼:接触鍼」
「刺さずに、皮膚を刺激する」鍼です。低刺激で安全のため「小児鍼」として有名ですが、大人にも使用されます。「様々な形状・種類」があり「目的に合わせて」使い分けます。
✅「小児鍼」
「0歳児~小学生」までを対象に使用される「刺さない鍼」です。「夜泣き」「疳の虫」「養生:スクスクと元気に育つことを祈る」などの目的で、行います。
梅花鍼
先端に ”『けんざん』みたいな『短い鍼がいっぱい付いている』”長い棒を、皮膚に向かって叩いて使用する 「刺さない鍼」です。棒を上下に動かすと、先端部分の重みで発生する「しなり」を利用して、刺激量を加減します。「脱毛症:血流を促し育毛促進」「美顔:リンパの流れを促し浮腫み改善」などに、よく使用されます。
ローラー鍼
「凸凹した部分」を皮膚の上で「コロコロ」と転がす。
てい鍼
「バネのきいた棒」で「ツンツン」刺激する。鍼先は、丸みを帯びています。
員利鍼
「丸みを帯びた凸部分」で、皮膚の表面を軽く「トントン」刺激する。
鍼先の形
「鍼の先」の事を「鍼尖:しんせん」と言います。「針先の形状」は5種類あります。
(鍼先の鋭さ >スリオロシ形 >ノゲ形 >柳葉形 > 松葉形 > 卵形)
スリオロシ形
「鍼体の根部」から徐々に細くしたもの。「日本の鍼術」の1つ「御薗意斎:みそのいさい」の「打鍼法:鍼を木槌で叩き込む」で広く使用された鍼です。昔は、職人が1本1本削っていたため、鍼先が鋭い傾向でした。
長所
- 「刺しやすい」
短所
- 「曲がりやすい」
- 「痛みを与えやすい」
「ノゲ形」
「鍼尖の上部約1.5mm」ぐらいのところから「細く」したもの。後に柳葉形ができるまで「中国伝来の鍼術:撚鍼法」で使用された鍼です。
長所
- 「刺しやすい」
- 「曲がりにくい」
短所
- 「痛みを与えやすい」
「卵形」
鍼尖が卵のように「丸味をおびて」います。
長所
- 「曲がりにくい」
短所
- 「刺しにくい」
- 「痛みを与えやすい」
「松葉形:まつばがた」
「鍼尖の少し上」から細くして「ノゲ形」に丸みを持たせたもの。「鋭さの中にも、どこか柔らかみのある」鍼先が特徴。一般的に広く使用されている「鍼先の形」です。(※当店でも、こちらの形状の鍼を最も多く使用しています。)
長所
- 「刺しやすい」
- 「痛みが少ない」
「柳葉形:やなぎばがた」
【松葉形】より少し鋭利にしたもの。「中国伝来の鍼術:撚鍼法」で使う鍼です。「横刺:鍼を横にした状態で刺す」頻度が高く、痛みに敏感な顔を刺す「美顔鍼」で使用されています。
長所
- 「刺しやすい」
- 「痛みが少ない」